妖怪往来YŌKAI ŌRAI
標本発見 0/108

日本妖怪文化案内 / FIELD GUIDE TO YŌKAI

日本には、まだ見えていない住人がいる。

こわくて、おかしくて、どこか懐かしい。
妖怪たちの名前、土地、物語をめぐる現代の百鬼夜行絵巻。

妖怪を探しにいく

壱 / FOUR DOORS TO THE OTHER WORLD

四つの境界を、歩いてみる。

妖怪は、どこにでも同じ姿で現れるわけではありません。 水、山、雪、家。それぞれの場所が、それぞれの怪異を育てます。

水辺

月の川には、河童がいる。

水は暮らしを支え、ときに命を奪う。川、沼、海の怪異には、人と水が交わしてきた畏れと約束が残っています。

弐 / THE GREAT YŌKAI INDEX

妖怪大図鑑

名前を知っている妖怪から。
まだ名前も知らない気配から。

108体の気配
01かっぱ河童KAPPA水辺に棲み、頭の皿と背中の甲羅をもつと語られる。02てんぐ天狗TENGU山の奥に現れ、翼や赤い顔、長い鼻で描かれる異形。03おにONI角と牙をもち、人の世界の外側から現れる強大な存在。04からかさこぞう唐傘小僧KASA-OBAKE一本足で跳ねる、目と長い舌をもった古傘の妖怪。05ひとつめこぞう一つ目小僧HITOTSUME-KOZŌ額に大きな目をひとつだけ持つ、子どもの姿の妖怪。06ろくろくびろくろ首ROKUROKUBI昼は人として暮らし、夜になると首が伸びるとされる。07ねこまた猫又NEKOMATA年を経た猫が変化し、尾が二つに分かれるとされる。08ぬりかべぬりかべNURIKABE夜道で目の前に立ちはだかり、進めなくする怪異。09ゆきおんな雪女YUKI-ONNA吹雪の夜に現れる、白い衣をまとった女性の怪異。10ざしきわらし座敷童子ZASHIKI-WARASHI旧家の座敷に棲み、その家へ福をもたらすとされる童子。11いったんもめん一反木綿ITTAN-MOMEN一反ほどの白い布が、夕暮れや夜空をひらひらと飛ぶ。12ぬらりひょんぬらりひょんNURARIHYON大きな頭をした老人のような姿で描かれる、正体不明の妖怪。13きつねKITSUNE人を化かし、神の使いともなると語られる妖怪。14ばけだぬき化け狸BAKE-DANUKI陽気な変化と腹鼓の名手と語られる妖怪。15うみぼうず海坊主UMIBŌZU海上に現れる巨大な黒い影と語られる妖怪。16あずきあらい小豆洗いAZUKI-ARAI姿なく小豆を洗う音を立てると語られる妖怪。17かまいたち鎌鼬KAMAITACHIつむじ風とともに傷を残すと語られる妖怪。18こだま木霊KODAMA古木に宿る山の気配と語られる妖怪。19やまびこ山彦YAMABIKO呼び声を山から返すものと語られる妖怪。20あかなめ垢嘗AKANAME夜の風呂場で垢をなめると語られる妖怪。21もくもくれん目目連MOKUMOKUREN破れ障子に無数の目がひらくと語られる妖怪。22のっぺらぼうのっぺらぼうNOPPERABŌ振り向いた顔から目鼻が消えると語られる妖怪。23てのめ手の目TENOME両の手のひらに目をもつと語られる妖怪。24じょろうぐも女郎蜘蛛JORŌGUMO蜘蛛が美しい女性へ変化すると語られる妖怪。25うしおに牛鬼USHI-ONI土地ごとに姿を変える荒ぶる怪と語られる妖怪。26ぬえNUE複数の獣が混じる不吉な怪鳥と語られる妖怪。27しゅてんどうじ酒呑童子SHUTEN-DŌJI鬼の首領として名高い説話の主と語られる妖怪。28ぬれおんな濡女NURE-ONNA濡れた髪と蛇の胴をもつと語られる妖怪。29あまびえアマビエAMABIE疫病の流行を予言したとされると語られる妖怪。30くだんKUDAN人面牛身で未来を告げると語られる妖怪。31はくたく白澤HAKUTAKU怪異の知識を授ける霊獣と語られる妖怪。32つるべおとしつるべ落としTSURUBE-OTOSHI木の上から巨大な頭が落ちると語られる妖怪。33べとべとさんべとべとさんBETOBETO-SAN夜道で後ろをついてくる足音と語られる妖怪。34かしゃ火車KASHA葬列や墓場に現れる火の車と語られる妖怪。35とうふこぞう豆腐小僧TŌFU-KOZŌ豆腐を盆にのせて立つ小僧と語られる妖怪。36にんめんじゅ人面樹NINMENJU人の顔のような実を結ぶ奇木と語られる妖怪。37おおにゅうどう大入道ŌNYŪDŌ夜道や峠に立ちはだかる巨大な僧形の怪異と語られる妖怪。38みこしにゅうどう見越入道MIKOSHI-NYŪDŌ見上げるほど首と背丈を伸ばす僧姿の妖怪と語られる妖怪。39わにゅうどう輪入道WANYŪDŌ炎をまとった車輪の中心に僧の顔をもつ怪異と語られる妖怪。40あおぼうず青坊主AO-BŌZU青い肌の僧として描かれる正体不明の妖怪と語られる妖怪。41あおさぎび青鷺火AO-SAGI-BI夜の青鷺が青白い怪火をまとう姿と語られる妖怪。42あかした赤舌AKASHITA黒雲から赤い顔と大きな舌をのぞかせる妖怪と語られる妖怪。43あみきり網切AMIKIRI鳥のくちばしと蟹の鋏で網を切る妖怪と語られる妖怪。44あめふりこぞう雨降小僧AMEFURI-KOZŌ大きな笠をかぶり雨を連れて歩く小僧と語られる妖怪。45あぶらあかご油赤子ABURA-AKAGO赤子の姿で行灯の油をなめる怪異と語られる妖怪。46あぶらすまし油すましABURA-SUMASHI石のような頭で峠に現れる油にまつわる妖怪と語られる妖怪。47あまのじゃく天邪鬼AMANOJAKU人の心を読み逆らう小鬼のような存在と語られる妖怪。48いそおんな磯女ISO-ONNA長い濡れ髪で磯に現れる女性の怪異と語られる妖怪。49いそなで磯撫でISONADE尾で船人を海へさらう巨大な海獣と語られる妖怪。50いぬがみ犬神INUGAMI家や術者に仕える犬の霊とされる憑きものと語られる妖怪。51おくりいぬ送り犬OKURI-INU夜の山道で旅人の後ろをついてくる犬の怪と語られる妖怪。52おとろしおとろしOTOROSHI長い毛と牙をもち社寺の門上にうずくまる妖怪と語られる妖怪。53さとりSATORI人の心を先回りして言い当てる山の怪と語られる妖怪。54がしゃどくろがしゃどくろGASHADOKURO無数の骸骨が集まり生まれる巨大な骨の妖怪と語られる妖怪。55かにぼうず蟹坊主KANI-BŌZU僧に化けて問答を仕掛ける巨大な蟹と語られる妖怪。56かねだま金霊KANEDAMA家から家へ飛び移り富をもたらす光の霊と語られる妖怪。57きつねび狐火KITSUNEBI夜の野に連なって灯る狐の怪火と語られる妖怪。58おにび鬼火ONIBI墓地や湿地に浮かぶ青白い怪火と語られる妖怪。59ふるそま古杣FURUSOMA山中で木を切る音を響かせる古い木こりの霊と語られる妖怪。60こそでのて小袖の手KOSODE-NO-TE古い小袖の袖口から白い手を伸ばす怪異と語られる妖怪。61こなきじじい子泣き爺KONAKI-JIJĪ赤子のように泣き抱くと石のように重くなる老人と語られる妖怪。62さざえおにさざえ鬼SAZAE-ONI年を経た栄螺が変化した海の鬼と語られる妖怪。63しょうけらしょうけらSHŌKERA屋根から人の暮らしをのぞく三つ目の怪と語られる妖怪。64すねこすりすねこすりSUNEKOSURI雨の夜に人の脛へまとわりつく小さな妖怪と語られる妖怪。65すなかけばばあ砂かけ婆SUNAKAKE-BABA姿を見せず、あるいは老婆姿で砂をまく怪異と語られる妖怪。66せとたいしょう瀬戸大将SETO-TAISHŌ瀬戸物の破片が集まった陶器の武者と語られる妖怪。67そでひきこぞう袖引小僧SODEHIKI-KOZŌ夕暮れの道で後ろから袖を引く子どもの怪と語られる妖怪。68だいだらぼっちだいだらぼっちDAIDARABOTCHI山や湖をつくったとされる国土級の巨人と語られる妖怪。69たかおんな高女TAKA-ONNA背を伸ばして二階をのぞく異様に背の高い女と語られる妖怪。70たんころりんたんころりんTANKORORIN採られず熟した柿が僧の姿へ変じた妖怪と語られる妖怪。71ちょうちんおばけ提灯お化けCHŌCHIN-OBAKE古提灯に目と舌が生えた親しみ深い化物と語られる妖怪。72つるべび釣瓶火TSURUBE-BI木の枝から井戸の釣瓶のように上下する怪火と語られる妖怪。73どろたぼう泥田坊DOROTABŌ荒れた田から現れ田を返せと訴える泥の怪と語られる妖怪。74のぶすま野衾NOBUSUMA空から顔を覆うように飛びかかる獣の怪と語られる妖怪。75おしろいばばあ白粉婆OSHIROI-BABA雪の夜に白粉を塗った顔で現れる老婆の怪と語られる妖怪。76ふたくちおんな二口女FUTAKUCHI-ONNA後頭部にも口をもち髪で食べ物を運ぶ女と語られる妖怪。77ふぐるまようひ文車妖妃FUGURUMA-YŌHI古い恋文と文車から生まれた女性の妖怪と語られる妖怪。78ふなゆうれい船幽霊FUNA-YŪREI海で柄杓を求め船を沈める死者の群れと語られる妖怪。79ふるつばきのれい古椿の霊FURUTSUBAKI-NO-REI年を経た椿の古木に宿る女性姿の精と語られる妖怪。80じゃたい蛇帯JATAI古い帯が蛇の姿へ変化した付喪神と語られる妖怪。81ほねおんな骨女HONE-ONNA生前の姿で恋人を訪ねる骨の女性と語られる妖怪。82まくらがえし枕返しMAKURA-GAESHI眠る人の枕を動かし向きを変える怪異と語られる妖怪。83まいくび舞首MAIKUBI争った三人の首が海上で舞い続ける怪異と語られる妖怪。84もうりょう魍魎MŌRYŌ墓地や山川に潜む小さな怪物とされる存在と語られる妖怪。85やまうば山姥YAMAUBA山奥に棲み人を助けも食らいもする老婆の怪と語られる妖怪。86ゆきにゅうどう雪入道YUKI-NYŪDŌ吹雪の中で大きな入道姿を取る雪の怪と語られる妖怪。87らいじゅう雷獣RAIJŪ雷とともに空から落ちる獣の怪と語られる妖怪。88けらけらおんな倩兮女KERAKERA-ONNA大きな口で笑う背の高い女の妖怪と語られる妖怪。89えんえんら煙々羅ENENRAたなびく煙の中に人の姿を見せる妖怪と語られる妖怪。90おんもらき陰摩羅鬼ONMORAKI供養されない死者の気から生じる怪鳥と語られる妖怪。91きゅうびのきつね九尾の狐KYŪBI-NO-KITSUNE九本の尾をもつ強大な霊狐と語られる妖怪。92たまものまえ玉藻前TAMAMO-NO-MAE宮廷の美女へ化けた九尾の狐と語られる妖怪。93やまたのおろち八岐大蛇YAMATA-NO-OROCHI八つの頭と尾をもつ山河ほど巨大な大蛇と語られる妖怪。94いちもくれん一目連ICHIMOKUREN一つ目の姿で暴風を起こすとされる風の神と語られる妖怪。95うみざとう海座頭UMI-ZATŌ琵琶を背負い海上を歩く盲僧姿の妖怪と語られる妖怪。96かわあかご川赤子KAWA-AKAGO川辺で赤子の泣き声を上げる小さな怪異と語られる妖怪。97かわひめ川姫KAWAHIME美しい女性の姿で川辺に現れる水の怪と語られる妖怪。98すいこ水虎SUIKO虎や河童に似て水中に棲む強い怪物と語られる妖怪。99しんSHIN吐く気によって海上に楼閣の幻をつくる大蛤と語られる妖怪。100てんじょうさがり天井下TENJŌSAGARI天井から逆さに長い髪を垂らす女性の怪と語られる妖怪。101てんじょうなめ天井嘗TENJŌNAME長い舌で古い家の天井をなめる妖怪と語られる妖怪。102てっそ鉄鼠TESSO怨みを抱く僧が巨大な鼠へ変じた怪と語られる妖怪。103のづち野槌NOZUCHI目鼻がなく大きな口だけをもつ野の蛇怪と語られる妖怪。104つちぐも土蜘蛛TSUCHIGUMO巨大な蜘蛛として武者に退治される怪物と語られる妖怪。105つちころび土転びTSUCHIKOROBI山道を大きな塊となって転がり追う怪異と語られる妖怪。106いっぽんだたら一本だたらIPPON-DATARA一つ目一本足で雪の山道に現れる鍛冶の怪と語られる妖怪。107うばがび姥ヶ火UBA-GA-BI老婆の顔を浮かべ川辺を飛ぶ怪火と語られる妖怪。108うぶめ姑獲鳥UBUME赤子を抱いて雨の夜に現れる母の亡霊と語られる妖怪。

参 / YŌKAI MAP OF JAPAN

妖怪は、土地の記憶から生まれる。

同じ名前でも、山を越えれば姿や性格が変わる。 地域を選んで、その土地に残る妖怪の入口をひらいてみましょう。

FIELD 01
北海道・東北北の雪と家

長い冬と深い雪に閉ざされる土地では、自然への畏れと、家を守る見えない住人の物語が重なります。

風土
雪原・山・旧家
境目
吹雪と囲炉裏、家の内外
六地方 妖怪観測帖06 REGIONS / SELECT A FIELD
日本海太平洋
現在の観測路 / 北海道・東北雪夜の野 → 古い街道 → 誰もいない座敷

気配:足音、子どもの笑い声、白い人影

肆 / A STORY OF THE IN-BETWEEN

妖怪は、
境目
あらわれる。

昼と夜、山と里、陸と水、生と死。昔の人びとは、ふたつの世界が触れ合う場所に不思議な気配を感じました。

説明できない音、見慣れない影、突然の病や自然の脅威。妖怪は、分からないものへ名前と姿を与え、語り継ぐための知恵でもありました。

「こわい」は、知らない世界への入口かもしれない。
外部資料をひらく

妖怪文化ミニ案内 / A SHORT GUIDE TO YŌKAI

妖怪を知るための、
四つの入口。

妖怪に唯一の定義や姿はありません。 まずは、よく尋ねられる四つの問いから、土地と時代が育てた怪異を読み解きます。

01妖怪とは何ですか?

妖怪は、自然現象、動物、道具、土地の記憶など、人の理解を越えた不思議へ名前や姿を与えて語り継いだ存在です。意味や分類は、時代や地域、研究の立場によって変わります。

02妖怪と幽霊はどう違いますか?

一般には、幽霊は亡くなった特定の人の思いや因縁と結びつき、妖怪は場所、現象、動物、道具など幅広い怪異を含むと説明されます。ただし両者の境界は明確ではなく、物語の中で重なり合うこともあります。

03同じ妖怪なら、姿や性格も全国共通ですか?

共通とは限りません。同じ名前でも、土地が変われば呼び名、姿、性格、現れる場所が変化します。河童のように全国各地で語られながら、地域ごとに異なる特徴を持つ妖怪もいます。

04このサイトでは何を調べられますか?

日本の妖怪108体について、名前と読み方、絵姿、主な伝承地域、現れる場所、気質、知られる時代を確認できます。六地方の妖怪地図、四つの境界、百問から出題される妖怪クイズも収録しています。

伍 / TEST YOUR YŌKAI SENSE

妖怪ものしり試験

百問の問題帖から選ばれた五つの問いで、あなたの妖怪感度を測ります。

1 / 5 問題帖 100

「水辺に棲み、頭の皿と背中の甲羅をもつと語られる。」この妖怪は?

今夜も、あなたのすぐ隣を通っている。

百鬼夜行は、まだ終わらない。

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