YŌKAI FILE 076 / 家
ふたくちおんな
二口女
FUTAKUCHI-ONNA
二口女とは後頭部にも口をもち髪で食べ物を運ぶ女。関東などの昔話に結びつく近世の怪談・昔話の語りを手がかりに、その輪郭を記録の範囲からたどります。
- 主な伝承地域
- 関東などの昔話
- 現れるところ
- 家
- 言い伝えの気質
- 秘密・食・変化
- 知られる時代
- 近世の怪談・昔話
一 / THE BOUNDARY
見慣れた家に、もうひとつの気配が宿る。
二口女は、関東などの昔話に結びつき、家に現れるものとして紹介されています。後頭部にも口をもち髪で食べ物を運ぶ女。家は人を守る場所ですが、暗がりや古道具、暮らしの決まりにも怪異は見いだされました。
食べない妻を迎えたところ、後頭部の口が髪を操って大量に食べていたという話が知られます。食や家族の秘密への不安を映す怪異です。その場所で何に注意し、どう振る舞うべきかを伝える語りとして読むことができます。
二口女の「秘密」は、家と人との距離を映す手がかり。
二 / MANY FORMS
描かれた二口女、語られた二口女。
二口女の外見だけを比べるより、いつ、誰が、どの媒体で輪郭を与えたかを見る方が変化を正確に追えます。土地の口承や生活の記憶が採録され、後の絵や解説によって見える姿を得ていった層です。
座敷、天井、衣服、灯りなど、家の中の具体的な場所や道具を追うことで、暮らしの規範が姿を得た過程を読めます。ここでの焦点は「食欲をめぐる家の物語」。呼び名が同じでも採録地が違えば行動や正体は変わるため、全国共通の生態へまとめません。
三 / THREE CLUES
二口女を読む、三つの手がかり。
伝承の核、資料に残る姿、後世の解釈。この三つを混ぜずにたどると、二口女が生まれ、語り継がれた背景まで見えてきます。
- 01後頭部にも口をもち髪で食べ物を運ぶ女
食べない妻を迎えたところ、後頭部の口が髪を操って大量に食べていたという話が知られます。食や家族の秘密への不安を映す怪異です。関東などの昔話という伝承圏と、家に現れる理由を一緒に見ると、この怪異が担った警告や願いまで読み取れます。
- 02食べない妻の隠れた口
二口女の昔話では、食事をしない妻を望んだ男が、後頭部の口へ髪で食べ物を運ぶ女を妻にしてしまいます。山姥が化ける型や、継子いじめの報いで第二の口が生じる型もあります。
- 03食欲をめぐる家の物語
異形の面白さだけでなく、食費を惜しむ夫、女性の食欲への監視、家族内の虐待が怪異の原因になります。誰の欲が罰せられる版なのかを比べると、昔話の倫理が見えます。